洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『プリティ・シングス』 (Pretty things) '65

ガレージ・バンドのパイオニアであり、ブリティッシュロックの裏街道を突っ走った老舗バンドの記念すべき1stアルバム。

The Pretty things プリティ・シングス

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2016年の音盤銘盤はPretty thingsから始める。このグループ、Beatles、Rolling Stones、Kinks、Whoといった今までこのブログで取り上げてきた"60年代ロック"と同世代のグループである。現在ではガレージ・パンクの元祖としてその名前が知られているが、それ以外にもR&B、サイケデリック、コンセプト・アルバム、ハードロック等様々な実験的な取り組みを行って主に70年代まで活発に活動していたバンドである。

当時のメンバーは以下の通りである。

・Phil May - vocals

・Dick Taylor - lead guitar

・Brian Pendleton - rhythm guitar

・John Stax - bass,harmonica

・Viv Prince - drums

ギターのDick Taylorはデビュー直前までRolling Stonesのメンバーであった人物というのは割と有名なエピソードである。諸般の事情によりStonesを脱退、自らが思い通りにできる音楽を模索して結成したのがPritty thingsである。後年のStonesの世界的な大成功と裏腹にPritty thingsの紆余曲折ぶりを比較すると、人間の「運命の分かれ道」をはっきりと認識させられてしまうのは否めない所。もしDick TaylorがStonesを辞めていなければ、大スターとしての道を歩んでいたのではないかと思うと、ちょっと切ない気分になる。

"Road Runner" Phil Mayの絶叫に等しいシャウトが強烈なインパクトを残す1曲目。ブルース・ハープの気怠いトーンと対称をなす通好みの選曲である。

"Rosalyn" Pretty thingsのデビューシングル。Dick TaylorのR&B指向が光る逸品。

"Unknown Blues" 初期のStonesに通じる渋〜いブルース。ギターとブルース・ハープだけで演奏される無駄のない荒削りな所が格好良い。

このバンドのアルバム、同世代のBeatles、Rolling Stonesのものに比べて明らかに録音状態が悪いのが非常に残念な点である。しかし、荒削りで鋭い演奏が聴ける所がPretty Thingsの魅力でありガレージ・パンクに繋がる系譜にあると言えるのかもしれない。Phil Mayの気違いじみたシャウトを織り交ぜたヴォーカル、Dick TaylorによるStones駆け出しの時代に叩き込んだR&Bの渋さ、といったものは60年代のブリティッシュ・ロックの中でもっと評価されても良い。