洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『レット・イット・ビー』(The Beatles) '70

言わずと知れたビートルズのラストアルバム。レコーディングは前作「アビイ・ロード」の方が後なのだが、リリースされた順番でいくとこのアルバムが最後となる。


レット・イット・ビーレット・イット・ビー
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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このアルバムはもともと”Get Back”という名前のセッションで呼ばれており、「ゲット・バック」という名前でアルバム化される予定であったが、出来映えが今ひとつだったせいかリリースはいったん頓挫する。この後「アビイ・ロード」のレコーディングが行われた為、リリースの順番が入れ違いになったという顛末である。

この後、いったん頓挫した”Get Back”セッションはプロデューサーのフィル・スペクターの助けを借りて「レット・イット・ビー」というアルバムで日の目を見る事となった。

制作経緯から見ると何とも半端な感じに思えるかもしれないが、このアルバム、そんな事情を微塵も感じさせない程大層な出来に仕上がっている。フィル・スペクターによるオーケストラやコーラスのダビングについては賛否両論あるようだが、ビートルズのラストを飾るアルバムとして巧く出来上がっていると思う。近年、"Let It Be…Nakid"というオーバー・ダビングを排したバージョンもリリースされたので聴き比べてみると面白いかもしれない。

アルバムには名曲中の名曲 "Across the Universe","Let It Be","The Long and Winding Road"が並ぶ。ラスト故に寂しさを覚える曲である。

個人的にはこの曲を推したい "I've Got a Feeling"。JohnとPaulが交互にヴォーカルをやるところが何だか"最後の思い出作り"みたいで感傷的である。隠れた名曲である。

"One After 909"も原点回帰のノリでよい。"Dig a Pony"はルーフトップ・コンサートと呼ばれるアップル・スタジオ屋上でのライヴ録音である。("I've Got a Feeling","One After 909"も同様)寒風吹きすさぶ中で演奏されたと言われているが、それを感じさせない熱気を感じる貴重な記録である。ビートルズは60年代当初にライブ盤を公式にはリリースしていなかったので、ライヴ演奏が聴ける数少ない曲となっている。

"Get Back" Paulの当時の心情を垣間見る事ができて興味深い曲。バンドを続けたい意思が曲名にも現れている。