洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『明日に架ける橋』(Simon & Garfunkel) '70

S&Gのラストアルバム。このアルバムを最後にデュオはひとまず解散。


明日に架ける橋明日に架ける橋
(2003/12/17)
サイモン&ガーファンクル

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S&Gのラストを飾るにふさわしい名曲「明日に架ける橋」"Bridge Over Troubled Water"がなにより素晴らしいが、この時代になるとワールド・ミュージックからの影響が現れてくる点にも注目したいところである。

「コンドルは飛んで行く」 "El Condor Pasa"や「いとしのセシリア」"Cecilia"を聴いていると、中南米の伝統音楽に影響を受けた事が窺い知れる。

同時期には欧米以外の民族音楽に影響を受けたアーティストは多数存在した。代表的な所ではビートルズ(特にジョン・レノンジョージ・ハリソン)のインド、ローリング・ストーンズ(特にブライアン・ジョーンズ)のモロッコなんかが挙げられるだろう。ロック・ミュージック自体が成長を遂げる中で欧米をルーツとしたカントリー、ジャズ、R&Bだけでは飽き足らず、様々な音楽を取り入れようとする創造性が花開いた時代でもあった。

無論、従来の作風も健在で、その出来は出色と言える。「ボクサー」"The Boxer"は「明日に架ける橋」と肩を並べる大ヒット作。これは私見だが、歌詞の"ライラライ~"はアリスの「チャンピオン」の元ネタになったのではないかと密かに思っている。アリスの代表作の方もボクシングがテーマになっているので、何がしかの影響があるように思えてならないのだが、如何なものか?

それと「ニューヨークの少年」"The Only Living Boy in New York" この曲、それほど有名ではないが名曲だと思う。粒の揃ったフォーク・ギターの音色から始まり中盤で力強く歌う流れに躍動感を感じる。S&Gで「隠れた名曲」といえばこの曲。

あと、個人的な体験談を一つ。この「明日に架ける橋」を聴き始めた中学3年の時に、24時間テレビでは音楽をテーマに放送を行っていた。たまたまスペシャルゲストでアート・ガーファンクルが登場したのをテレビで見る事が出来た。その時歌っていたのが「明日に架ける橋」であった。アート一人だけの来日だったようで、若干線の細い歌声だったが、当時洋楽にハマっていた自分としては憧れのミュージシャンが生で歌っているのを見る事ができたのは結構な衝撃であった。今でもはっきりと覚えている。

因みにその年の24時間テレビの司会はダウンタウン、今もテーマ曲として続いている「サライ」が作られたのも、この年の事。松っちゃんがアート・ガーファンクルの前を所在無げに俯き加減で歩いていたのが印象的であった。なかなか面白い取り合わせである。