洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ウィズ・ザ・ビートルズ』(The Beatles) '63

1stアルバムの快進撃もそこそこに第2弾。


ウィズ・ザ・ビートルズウィズ・ザ・ビートルズ
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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このアルバム、なんと言ってもジャケットが格好良い。「ハーフ・シャドウ」と呼ばれる手法で顔半分に光を当てたモノクロ写真が4人の存在を際だたせている。ビートルズのアルバムの中でも随一のデザインセンスだと思う。

曲の出来も1stと比べて格段に進歩している。一発録りのライヴ感が特徴的な前作と対照的に、1ヶ月をかけてレコーディンをしたのでバリエーションが多彩になっているのが見て取れる。1963年に録音されたとは、俄に信じ難いほど音の厚さ、クリアさが表現されている。当時の最新鋭の録音機材を使ったと思われる。当時のEMIがビートルズに対して、相当入れ込んでいたことが音に現れているね。

"It Won't Be Long" John,Paul,Georgeの3人のコーラスのかけ合いが秀逸な曲。アルバム1曲目からこんなにハイレベルな曲を持ってくる所、只者でないのは明らか。当時の衝撃は半端でなかったろう。

"All My Loving" Paulの曲の中でもビートルズ時代でトップクラスの出来。間奏部分のGeorgeによるカントリー風のギター・ソロも出色の出来。

"Don't Bother Me" Georgeの初となるオリジナル曲。メイン・ヴォーカルをJohn,Paul以外に据える事でメンバー全員をスターとして売り出す方針が明らかとなるのが分かる曲。

"I Wanna Be Your Man" Ringoの数少ないリード・ヴォーカル曲。当初はローリング・ストーンズ向けにシングル用に贈った曲である。個人的にはストーンズ贔屓なのだが、この曲に関してはやはりビートルズのヴァージョンの方に軍配が上がるだろう。バックで支えるJohn,Paulのコーラスの出来が決定的である。

このアルバム、メンバー4人全員をスター・プレイヤーとして売り出す戦略が窺える。従来の「メイン・ヴォーカル+バックバンド」という構図ではなく、メンバー全員にリード・ヴォーカル曲があるのが重要なポイントと言える。半数もの曲がJohn,Paulによるオリジナルである事が当時として異例である事は1stアルバムでも述べたが、このアルバムではGeorgeが1曲提供して、カヴァー曲で2曲リード・ヴォーカルを取っている。Ringoも1曲ではあるがリード・ヴォーカルがある。現代のアイドル・グループの原点はここにあると言えるだろう。