洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『リボルバー』(The Beatles) '66

前期ビートルズの集大成とも言えるアルバム。ビートルズのキャリアもこれを境に折り返し地点となる。


リボルバーリボルバー
(1998/03/11)
ザ・ビートルズ

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アルバムごとに斬新な取り組みを行ってきたビートルズだが、このアルバムでの様々な実験的な活動はもはやライヴの範疇を超えるものになっている。実際、この年に彼らはライブ活動を停止し、スタジオでのレコーディングに専念することに。個人的にはビートルズのアルバムの中で一番好き。

このアルバムにはジャケットデザインよろしく様々な側面がある。まず第1にギターバンドとしての側面。

ジョージの出世作"Taxman"、ギターバンドの傑作"She Said She Said"、ジャム時代のポール・ウェラーがカヴァーした"And Your Bird Can Sing"。

どれもオープニングから先鋭的なギターから始まるスピード感あふれる曲である。のちのパンク/ニューウェーヴ系のバンドへの影響は多大なものがある。ギター・バンド大好き人間には堪らないラインナップ。

第2の側面は時代を先取りしたサイケデリック指向。スタジオに篭って作り上げた幻想的な世界観は次作の"サージェント・ペパーズ"に続く。

テープの逆回しで効果音を作った"I'm Only Sleeping"、前作に引き続きシタールを全面に押し出した"Love You to"、サイケを先取りした"Tomorrow Never Knows"。

第3の側面は情緒的なクラシックの曲調。ヴァイオリンなどの弦楽を巧みに取り入れた"Eleanor Rigby"、曲間の静寂が特徴的な"Here, There and Everywhere"、ホーン・セクションが自然な感じに入ってくる"For No One"も良い。

第4の側面は躍動感のあるジャズ路線。ピアノの軽快な音色がテンポ良く響く"Good Day Sunshine"、オープニングがブラスで始まる"Got to Get You Into My Life"も凄い。

プログレ、ハードロック、パンク、ブラスロック等という様に、60年代後半から70年代にかけてロックが細分化される原点がこのアルバムにあると言えよう。

この他にもGeorge作の曲が3曲も収録されており、彼のミュージシャンとしての成長が窺える所も特徴と言える。