【音盤銘盤】『マジカル・ミステリー・ツアー』(The Beatles) '67
映画のサントラが前半、当時のシングル曲を後半に編集したアルバム。
前作「サージェント・ペパーズ」に続くサイケデリックブームの中で作られた作品。
![]() | マジカル・ミステリー・ツアー (2009/09/09) ザ・ビートルズ 商品詳細を見る |
前半6曲は英国盤では67年当時にEPとしてリリースされたもの、後半5曲はシングル盤としてリリースされたものを配置するという変則的なアルバム構成になっている。通して聴いてみるとアルバムのコンセプトが見えにくいかもしれない。
アルバム・タイトルと同名曲の"Magical Mystery Tour"は当時のサイケ時代に特徴的な浮遊感と華やかさを感じる事ができるのが聴き所。それ以降のサントラ部分の曲も手堅く仕上がっている。
童謡風の"The Fool On The Hill"は牧歌的でのどかな所が良い。
"Your Mother Should Know " この曲は言わば「隠れた名曲」と言って差し支えないであろう。個人的にはビートルズの中でもっと評価されて良い曲だと思っている。
"I am the walrus" この曲の最後の方で日本の民謡らしきものが聞こえる(エンヤ、トット、エンヤ、トット…)そうな。10数年前にとあるクイズ番組でこれを出題していた記憶がある。
しかし、本作の見せ場は当時のシングルヒットが聴ける後半部であろう。メタリックなギターの音色が響く"Hello Goodbye"、リバプールの地元の通りをテーマにした"Penny lane"、Johnの幼少期の体験に基づく"Strawberry fields forever"がインパクト大。"All You Need Is Love"は当時、通信衛星を使用して多くの国で同時放送されたテレビ番組"Our world"のテーマ曲として作られた経緯を持つ。世界初の画期的な取り組みであったそう。音楽だけでなく社会的な影響力を彼らが持つようになった事が分かる出来事である。