洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ザ・ビートルズ』(The Beatles) '68

別名「ホワイト・アルバム」の方が有名か。サイケデリックの華美な時代を過ぎ、良く言えば肩肘張らず自由闊達に、悪く言えばてんでばらばらに作ったアルバム。自由さ故に4者4様の個性が散りばめられている。2枚組なので名曲選びに迷うアルバム。

時系列にアルバムを聴いていると、この辺りで再び地に足がついた曲調に戻るのでほっとする。個人的には"Revolver"の次に好きなアルバム。


ザ・ビートルズザ・ビートルズ
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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このアルバムの魅力はシンプルなバンド・サウンドへ回帰した事にあると言える。それもただ原点に戻っただけでなく、ビートルズの活動の中で積み重ねられた経験がきちんと昇華されていて何ステップもレベルアップしているのが分かる。様々なジャンルの曲を取り入れた多様な音楽性を表しているロック史に残る傑作と言えよう。

アルバムのオープニングはシンプルなロックに回帰した"Back In The USSR"。イントロの飛行機の効果音の使い方も非常にナチュラルに仕上がっている。"Revolver"の頃のように、いかにも実験的な印象は薄れ、曲と絶妙な具合に共存している。

Eric Claptonにギター・ソロを託したGeorgeの出世作"While My Guitar Gently Weeps"が前半のハイライトである。このアルバムで特徴的な事は、この曲のようにメンバー以外のミュージシャン、親類、知人をスタジオに招き入れてレコーディングに参加させていることである。メンバー各々が良くも悪くも好き勝手に招待していたので、メンバー4人のバンドとしてのまとまりは薄いきらいはあるものの、多種多様な音楽性が展開されていてこのアルバムは何度聴いても飽きない。

Johnが喉から搾り出すようにして歌う"Happiness Is A Warm Gun"も格好いい。

Paulのシンプルなアコースティックギターが冴える"Blackbird"。ちなみにこの曲は高校時代に必死にコピーしようとして練習しました。ビートルズ等60〜70年代の傑作アルバムは既に楽譜が売られていたので、それに首っ引きになりながらギター部の部室で暗譜するまで弾いてみたりしたものです。

"Why Don't We Do It in the Road?" この曲何だか分からんが凄く好きある。曲のタイトル含め3フレーズをひたすら熱唱(というより絶叫?)するPaulの心意気が凄い。僅か2分足らずの曲だが、アルバム内でのインパクトは絶大。

アルバム2枚目のオープニング”Birthday”。シンプルなロックであり、かなり洗練もされている。彼らの引出しの多さが分かる逸品である。

ストーンズの映像作品「ロックンロール・サーカス」ではClapton、Keith Richardsとスーパーバンドで演奏されるシーンが公開された"Yer Blues"。このアルバムがリリースされる頃からブルース・ロック、ハード・ロックが台頭したので、ビートルズもそれに影響されたものと見られる。

"Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey","Helter Skelter" この2曲は後のヘヴィー・メタルの先駆けになるものと言える。アルバム後半のピークに達するのがこれら2曲の辺り。

あと残るは"Revolution 9"。中3の時に初めて聴いて以来、これ程理解し難い曲(果たして曲と言えるかどうかも怪しい?)があるだろうか。未だにシュールさ加減に圧倒される。"number 9 ..,number 9 .."の繰り返しを聴くと空しさを覚えるのは私だけだろうか。十中八九効果音だけで占められたこの曲はJohnのぶっ飛んだ才能が鬼気迫るように耳に飛び込んでくる。