洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『カインダ・キンクス』(The Kinks) '65

大ヒット”You Really Got Me”,"All Day And All Of The Night"に続く2ndアルバム。フォーク・ロックの時代を先取りするかの様な内省的な曲調が目立つ。地味ながらも粒ぞろいの小品が並ぶので、どの曲も甲乙付け難い。


カインダ・キンクス+11カインダ・キンクス+11
(1998/06/24)
ザ・キンクス

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ジャケットに写るRayの口元が既に"Joker Smile"になっているのが印象的。この頃から世をヒネた視線で見据えていたのだろうか。Daveの横顔も初々しくて微笑ましい。

アルバム全12曲(UK盤)中10曲がRayによるオリジナルである。2ndアルバムにして半数以上がオリジナル曲というのは当時としては珍しい方かもしれない。Ray自身の作詞・作曲指向がうかがえる。

コーラス、フォークの影響であろうか、全体的な印象は1stに比べて初々しい仕上がりになっている。60年代当初のロンドン出身のグループはR&Bを中心とする渋い曲調のバンドが多いのだが、Kinksはリヴァプールマンチェスター出身のマージー・ビート系のポップなノリの影響も大きい。これはRayやDaveの声質による所も大きいのではなかろうか。彼らにはソフトな歌い方の方が合っている気がするし。

"Look for Me Baby","Got My Feet on the Ground" 1stよりゆったりしたテンポの曲調で始まる。2曲ともRayの作詞・作曲によるものだが、2ndになって曲作りにゆとりがでてきているのかも。

"Nothin' in the World Can Stop Me Worryin' 'Bout That Girl" Rayが囁くように歌うのが特徴的である。2ndアルバムにして内省的な曲調になっているのは、当時台頭しつつあるフォーク・ロックの影響も無視できないだろう。

"Naggin' Woman" Daveがフニャッとした人を食ったような歌い方が強烈なインパクトを放つ曲。

”Wonder Where My Baby Is Tonight ” これもDaveがリード・ヴォーカルを取る曲。前曲と対照的にスマートなテンポで進む。ピアノのリズムが心地よい。

"Tired Of Waiting For You" 当時のKinksのお家芸とも言うべきスリー・コードのギターフレーズが聴ける曲。初期の定番曲。ゆったりとしたテンポが心地よい。。

"Dancing in the Street " Mick JaggerDavid Bowieのカヴァーが有名だが、Kinksの軽快なテンポも悪くない。

”Don't Ever Change” アコースティックギターの刻み方が特徴的な小品。このアルバムの中では個人的には1,2を争う名曲だと思っている。

”Come on Now” 1stアルバムの流れを汲むリズミカルな曲。コーラスが若々しくてよろし。

”So Long” Rayの囁く様な歌い方とマッチしている曲。これってボサノヴァみたい。

”You Shouldn't Be Sad” このアルバムに通底する「若々しさ」を象徴する様な曲。コーラスの構成が際立った逸品。

"Something Better Beginning" 2ndアルバム随一のバラード。不安と期待が入り混じる内容の歌詞が印象的。