【音盤銘盤】『グリーン・リヴァー』(Creedence Clearwater Revival) '69
CCRの3rdアルバム。フォーク調のゆったりした曲が目立つ作品。
![]() | グリーン・リヴァー+5 (2010/12/22) クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル 商品詳細を見る |
"Green River" このアルバムからは複数の曲がシングル・カットされているが、そのうちの1つがこの曲である。端正なアコースティックギターと気怠いリードギターの2重構成が聴き所だろうか。
"Commotion" 50年代風の古典的なR&R。メリハリのあるテンポが聴いていて心地よい。途中から口笛が入る箇所がアクセントである。
"Tombstone Shadow" 「墓石の影」という邦題。前作の"Graveyard Train"といい、不吉な曲名が多い。彼らの原点となるブルース自体が黒人の苦悩、葛藤を土台とした曲が多いので何とも重苦しいテーマの歌詞が多いのは避けられないのかもしれぬ。しかし、曲調は軽快、ギターのリズム感もアップテンポで進んでいく。
"Wrote a Song for Everyone" 3rdアルバムにしてCCRが次のステップに進みつつあるのが分かる曲。前々作、前作の軽快なR&R、渋いブルース調の曲だけでなくしんみりとしたフォーク調の曲調が目新しい。歌詞はベトナム戦争の影響であろうか、反戦的なメッセージ性の強いものになっている。
"Bad Moon Rising" "Proud Mary"に続いて発売されたシングル曲。リズミカルで軽快な曲調とは裏腹に歌詞は辛辣である。当時の政治を風刺した曲であると言われている。
"Lodi" CCR随一のカントリー調の曲である。このアルバムが二番煎じの凡庸な作品にならなかったのは、こういった曲でレパートリーの広さを示す事が出来たからだと思う。
"Cross-Tie Walker" 初期のストーンズと通づる所の多いR&B。定番どころも聴かせてくれる。
"Sinister Purpose" 「黒い陰謀」という邦題がつくこの曲。当時の日本のレコード会社のセンスは優れていたと思う。近年はなかなか気の利いた邦題を付ける事が無くなったのはちと残念である。Johnのギターも重苦しさを増している所が白眉と言える。
"The Night Time Is the Right Time" Johnの張り裂ける様なシャウトとコーラスワークが秀逸なカヴァー。CCRのR&B指向の強さが際立つ逸品に仕上がっている。
全体的に見て1曲1曲が短く、CCRのキャリアの中ではやや地味な印象のアルバムである。しかし、フォーク調の曲やカントリー・ミュージック等多彩な曲作りをしているのが一聴するとよく分かる。歌詞に政治批評や社会問題を風刺したテーマを盛り込んだりと革新的な取り組みを行っているのが興味深い所。なかなか侮れない1枚である。