洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ』(Creedence Clearwater Revival) '69

CCRの4枚目のアルバム。立て続けにシングル・アルバムともに大ヒットが続く中でリリースされた名作。


ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ
(2007/06/27)
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

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"Down on the Corner" このアルバムからシングル・カット1枚目の曲。アルバム・ジャケット画像の様にあたかも街角で演奏しているかのような軽快なサウンドである。

"It Came Out of the Sky" 「青空の使者」という邦題を持つ奇想天外な曲。UFO遭遇から政治家やらローマ法王やハリウッドを巻き込んでの大騒動となる歌である。いかにもアメリカ人好みの能天気なノリが安っぽいけど面白くて良い。

"Cotton Fields" カントリーのカヴァー曲。つい最近までCCRオリジナルだと思っていたが、実はカヴァーであるのを今回ブログを書くにあたって初めて知った。CCRの南部への傾倒、憧憬みたいなものがにじみ出ていてほのぼのする。

"Poorboy Shuffle" "Down on the Corner"の続きといった所でしょうか。楽しげに演奏する姿が目に浮かぶ。前後の曲をちょっとした余興風に繋ぐ手法は当時のコンセプト・アルバムの影響と思われる。

"Feelin' Blue" デビュー当初から十八番にしているブルース調の長尺曲である。このアルバムの時期になると演奏・歌唱ともに洗練されて、ますますレベルアップしているのが分かる。ティナ・ターナー顔負けの渋さはCCR随一である。

"Fortunate Son" シングル第二弾。この当時、ベトナム戦争が激化する中で反戦をテーマにした曲が多数作られたが、この曲が一線を画しているのは、反戦に加えて階級格差を盛り込んでいる事である。戦地へ赴くのは労働者階級の若者ばかりであるという事実を辛辣に突きつけた功績は大きい。作曲の視点がブリティッシュ・ロックのKinks(Ray Davis)と共通するのが特徴的である。エド・サリバン・ショーでJohnが熱唱していた姿が懐かしい。

"Don't Look Now (It Ain't You or Me)" この曲も社会風刺をテーマに取り上げている曲である。恥ずかしい話だが、今頃になって歌詞カードを引っ張りだして読み返してみると、CCRもかなり社会派の曲を多数作ってきたのが分かる。「守る必要のない約束をされるのは誰?」という歌詞を見ると政治の無関心はアメリカも変わらないのではという事に気づく。

"The Midnight Special" トラディショナルからのカヴァー曲。黄昏感が満載のギターを聴くと、なぜか夕焼けを思い浮かべてしまう。

"Effigy" 政治的な風刺(批判?)をテーマにした曲でこのアルバムの幕を閉じる。曲後半の延々とループを繰り返す様なギターソロはこのアルバムのハイライトである。軽快なギターが売りのCCRだが、ハードロックの台頭もあるせいか、フレーズが次第に重苦しくなっていく。

1969年はCCRの当たり年であった。このアルバム含めて3枚のアルバムと4枚ものシングルがリリースされヒットチャートを賑わしたのである。このアルバムの演奏も洗練さを増しているのが分かる。