洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『コスモズ・ファクトリー』(Creedence Clearwater Revival) '70

CCRの活動期間のピークにあたる5枚目のアルバム。磨きがかかり、円熟味が増す演奏が聴ける。


コスモズ・ファクトリーコスモズ・ファクトリー
(2007/06/27)
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

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"Ramble Tamble" 前作に増してJohnのギター・フレーズにスピード感が増している。ハードロックの台頭に対する彼らの解釈がこの曲に表れている。気になる所だが、中盤からのギター・ソロはLed Zeppelinの"天国への階段"を彷彿とさせる演奏である。もしかしてパクりではあるまいかと勘ぐったのだが、Zepの"天国への階段"のリリースは1971年。CCRのこのアルバムのリリース翌年である。まさかJimmy Pageの方がパクったのではないか?などと勝手な憶測をめぐらせてしまう。。

"Before You Accuse Me" 前曲と一転してルーズな演奏である。初期のストーンズを聴いているかの様な渋いR&Bが格好良い。アルバムも5枚目に入ると手練な演奏になるのが分かる。

"Travelin' Band" リトル・リチャード流の絶叫に近い歌い方がインパクト大。ブラス・セクションを巧みに取り込んで50年代のジャズ風のサウンドに仕上がっている。このアルバムに先行してシングルとしてリリースして当時大ヒットした。

"Ooby Dooby" アップテンポで軽快な仕上がりとなる小品。いかにもアメリカのバンドらしいロカビリー調のポップスである。

"Lookin' Out My Back Door" カントリー風の曲ももれなく収録。長閑で幻想的な世界観の歌詞も面白い。

"Run Through the Jungle" 幻想的というよりおどろおどろしい効果音が特徴的な隠れた名曲。ブルース・ハープの使い方も巧みで不気味な空気感を演出しているのが秀逸である。CCRが凡庸な一発屋で終わらずに長きに渡って評価されているのは、この曲のように構成力を持つ演奏が出来たからだと思う。そういった点でもっと注目されても良い曲である。

"Up Around the Bend" この曲もアルバムに先行してシングルヒットした曲。気を惹く様なギターのフレーズは未だに古臭くならない。CCRのシングル作はこの辺りがピークであったと思われる。

"My Baby Left Me" 単調なテンポが何とも心地よい。初期から続くCCRの淡々としたギターがこのアルバムでも聴ける。

"Who'll Stop the Rain" CCRには「雨」を比喩にした曲が幾つかあるが、その中でも有名な曲の1つがこれである。歌詞は多分に政治に対する風刺を盛り込んだものだとされている。ここで喩えられている「雨」は当時の政権がベトナムで押し進めていた空爆の事を指している等、様々な説が取り上げられている。アコースティックギターのキラキラした様な演奏が際立っている。初期の泥臭い演奏がこの時期から次第に薄らいでいくのが見て取れる曲である。

"I Heard It Through the Grapevine" 10分を超える超大作曲。CCR御得意の淡々としたリズムで長尺曲を演奏し続けるものであるが、中盤からのギターソロはインプロビゼーション(即興)風のノリに仕上がっている。Eric Clapton,Jeff Beckみたいに縦横無尽にフレーズが駆けずり回っている感じが何だか時めく。CCRの音楽はシングルだけを聴いていると、オーソドックスなR&Rが中心で流行に左右されない雰囲気があるが、アルバムでは当時の流行をふまえ様々な試みを取り入れていった側面があるのがよく分かる。

"Long as I Can See the Light" キーボードの透き通るような音色がアルバムの締めとなる。CCRのバンド活動も終盤にさしかかっていく様子が窺える。

1970年に入ってからもCCRの人気は衰えず、このアルバムに先んじて3枚ものシングルがリリースされた。この辺りがバンド活動のピークであったと言えるであろう。演奏も初期の荒削りな感じは鳴りを潜め、垢抜けたサウンドに仕上がっているのが本作の特徴である。