洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ペンデュラム』(Creedence Clearwater Revival) '70

CCRの活動も後期に差し掛かった6枚目のアルバム。洗練された曲調が強調された仕上がりである。


ペンデュラムペンデュラム
(2007/06/27)
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

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CCRのアルバムもこのアルバム含めて、残すところ2枚となった。荒削りなR&Bは遠のいて、洗練された都会的な雰囲気へと変貌しているのが分かる。

"Pagan Baby" 初期のR&B風の曲調を残す数少ない曲。終盤でJohnがシャウトする箇所が白眉である。

"Sailor's Lament" キーボードのゆったりした音色で始まる曲。70年代に入って洗練された路線を先取りしているかのような作品。

"Chameleon" ブラス・セクションを取り入れた軽快な小品。当時はシカゴ、BS&T等のブラス・ロックがアメリカで流行し始めた頃。これらの影響を抜きには語れない。

"Have You Ever Seen the Rain?" 邦題は「雨を見たかい」である。恐らく日本で最も有名なCCRの曲なのではなかろうか。数年前に自動車のCMで使用されていたので、耳にした事のある人も多いであろう。CCRには「雨」を歌詞に用いた曲が幾つかあるが、この曲はベトナム戦争の爆撃の比喩として用いられているというエピソードは比較的知られている。(しかし、作詞・作曲をしたJohn Fogerty自身はこの俗説を否定しているそう。前作の"Who'll Stop The Rain"と混同している様である。)

"(Wish I Could) Hideaway" 夕暮れ時を思わせる様な黄昏れた雰囲気の曲。キーボードの使い方が巧みである。

"Born to Move" ブラスを効果的に取り込んで盛大な仕上がりとなっている。いかにもアメリカのバンドらしい大仰な作りである。

"Hey Tonight" "Have You Ever Seen the Rain?"と共にシングルで発売された曲。ギターの音色がBeatlesの"Revolver"の頃みたいでエッジが効いている。

"It's Just a Thought" キーボードの澄み切った音色が印象的である。内省的なしんみりした曲調が目立つようになるのがこの時期のCCR

"Molina" キャッチーで覚え易いフレーズが短くまとまっている逸品。シングルとしてリリースしても良かったのではないと思う曲である。

"Rude Awakening #2" インストゥルメンタルでこのアルバムは幕を閉じる。

全体的にブラス、キーボードといった当時の流行を取り入れて新境地へ進もうとする姿勢が窺える作品に仕上がっている。しかし、全曲通して聴いてみるとインパクトの残る曲は少ないのが少々惜しい所である。このブログを書くにあたり、曲名を見ても思い出せない曲がちらほらあったので改めてアルバムを聴き直した位である。

因みに、グループの屋台骨を支えていたTom Fogertyがこのアルバムを最後にメンバーから脱退。グループが次第にギクシャクしてくる様子が窺える。