【音盤銘盤】『マルディ・グラ』(Creedence Clearwater Revival) '72
CCRのラストアルバム。60年代後半に全米ヒットチャートを賑わせたグループもここで終焉を迎える。
60年代後半にシングルヒットを連発して押しも押されもせぬ大人気バンドになったCCRもこの辺でだいぶ息切れしてしまった様子である。しかし、僅か4年余りの活動期間の中で10枚以上のシングル、7枚ものアルバムをリリース、シングルに至っては10枚もゴールドないしプラチナシングルに選ばれているのだから、現代のミュージシャンと比べてかなり多作である。この辺りはもっと評価されても良い。60年代後半という、ロックが発展途上にある段階で急激に疾走し続けたCCRの凄さはもっと多くの人に知ってもらいたいと思うのである。
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John Fogertyの兄Tomがバンドを脱退して3人体制で望んだアルバムである。従来のアルバムと異なり、ドラムのDoug CliffordとベースのStu Cookも作曲、リード・ヴォーカルを取る曲が収録されている所が従来の作品と異なる。
"Lookin' For a Reason" Johnによるカントリー調の長閑な曲。肩の力が抜けた感じが聴いていて心地よい。
"Take It Like a Friend" Stuの作曲、ヴォーカルも同様である。ストレートに突っ走る曲調は60年代初期のビートルズを思わせる。一本調子な感じはあるけれど決して悪い出来ではない。
"Need Someone to Hold" StuとDougの合作で、ヴォーカルはダグによる曲。いかにもアメリカ然としたカントリー調の曲。バーズのアルバムに入っていても違和感が無い気がする。
"Tearin' Up the Country" Dougの作曲・ヴォーカル。このブログを書く為にアルバムを聴き直しているのだが、リズム隊の曲もなかなか良い出来である。オーソドックスなカントリー風のフレーズもたまに聴くのも乙な物である。
"Someday Never Comes" CCRのラストとなるシングル曲である。作曲・ヴォーカルともにJohnの手による。ラストに相応しい何とも感傷的な出来である。父親が息子に語りかける様に歌われる歌詞はちょっと感動ものである。
"What Are You Gonna Do?" またもDougによる曲。拙いヴォーカルだが、まともな完成度になっているのはギターの力量による所が大きいのかもしれぬ。
"Sail Away" Stuの曲2発目。この辺りまでくると聴き直してみないと曲を思い出せなくなってくるのが、ちょっと悲しい所である。今、改めて聴いてみると結構良い曲なのだが。
"Hello Mary Lou" Gene Pitney作のカヴァー。CCRの原点と思しきカントリーのスタンダードである。リアルタイムで聴いた訳ではないが、いつ聴いても懐かしく感じられるのが不思議である。
"Door to Door" Stuのヴォーカル第3弾。ライブ盤でも取り上げられていた所を見ると、結構なお気に入りだったと考えられる。軽快なリズムで弾む様に進むリズムが印象的。
"Sweet Hitch-Hiker" アルバムリリース前にシングルでヒットした曲。CCRの曲の中では、スピード感は随一である。
このアルバムでは半数以上の曲でベーシスト、ドラマーが自作曲を提供しているという随分思い切った試みを行っている。彼らからの要望も大きかったらしい。バンドが3人体制になった事でBeatlesの様な新たな取り組みを行ったものと見受けられるが、アルバム全体のクオリティが散漫なものになってしまったのは否定できない。このアルバムを最後にグループが解散となってしまったのは少々残念ではある。John主導でもう一枚くらい作ればもっと上手く有終の美を飾る事が出来たのではないかという気もする。