洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『フレッシュ・クリーム』 (Cream) '66

クリームの記念すべき1stアルバム。ブリティッシュ・ロック屈指の名トリオの衝撃的なデビュー作である。


フレッシュ・クリームフレッシュ・クリーム
(2006/06/21)
クリーム

商品詳細を見る

僅か1枚のアルバムをリリースしたのみでEric ClaptonはJohn Mayall & Blues Breakersを脱退する。より創造的な音楽を目指してJack Bruce,Ginger Bakerと結成したグループがクリームである。

"I Feel Free" コーラスが端正で透き通るような雰囲気で始まる曲。その後ろから畳み掛ける様にClaptonの叫ぶ様なギターが入り込んでくるのが印象的である。意外とポップな一面を見せる1曲。

"N.S.U." Ginger Bakerの淡々とリズムを刻むドラムで始まるブルースナンバー。Jack Bruceのヴォーカルも迫力があって聴き応えのある演奏に仕上がっている。ギターも切り刻む様な激しいトーンで三者三様の見せ場がある名作。

"Sleepy Time Time" タイトル通り眠気を誘う何ともゆったりしたトーンの曲。曲全体にエコーがかかり、遠くから響いてくる感じが非常に特徴的。この時代のCreamの曲は高校生の頃から聴き始めているが、緊張し過ぎた時や焦燥感にかられてパニックになりそうな時に聴くと、とても落ち着いてくる不思議な曲である。精神安定剤なんかよりずっと効果があるんじゃないかと思う。ストレスが溜って眠れない時にこの曲を思い出すとよく眠れるようになるのは私だけではない筈。

"Dreaming" この曲はほのぼのとした雰囲気がにじみ出ている曲。どこか癒されるヴォーカルが印象的。ベースのJack BruceとドラムのGinger Bakerは実を言うと犬猿の仲であり、Cream時代は一貫して随分ギスギスしていたそうだが、そのような関係性を微塵とも感じさせない所が凄い。プロフェッショナルに徹している演奏がよく表れている。

"Sweet Wine" 韻を踏むかの様なリズミカルなコーラスが心地よい軽快な曲である。中盤からのドラム・ギター・ベースのインプロビゼーションも聴き逃せない。

"Spoonful" 個人的には意外だったのだが、このアルバムはメンバーのオリジナル曲が約半数を占めている。本格的なブルースのカヴァーは実はそれほど多くはないのである。このアルバムがリリースされたのは1966年。当時一世風靡していたBeatlesもRollingStonesもオリジナル曲を数多く発表していた所から、その影響も無視できなかったのであろう。

"Cat's Squirrel"(instrumental) トラディショナル曲のインストゥルメンタルをここで挟む所が粋である。

"Four Until Late" Claptonがリードヴォーカルの秀逸なカヴァー。原曲はRobert Johnsonである。Robert Johnsonのカヴァーといえば"Crossroad"が有名だが、この曲も外せない。ブルースハープの使い方が洒落ている。

"Rollin' and Tumblin'" Muddy Watersのカヴァーである。ライヴでもよく取り上げていた定番曲。ギターとブルースハープの掛け合いにスピード感があって良い。

"I'm So Glad" 後半へ向かって盛り上がりながらギターソロへ向かっていく所は本アルバムのハイライトである。Claptonのゆったりした音色はいつ聴いても心地よい。ソロの後の静寂はCreamでも白眉の瞬間と言える。

"Toad"(Instrumental) Ginger Bakerのドラムを全面にフィーチャーしたインストゥルメンタル。68年の3作目"クリームの素晴らしき世界"では10分以上に渡るドラムソロを繰り広げていたが、このオリジナルはコンパクトな仕上がり。

Claptonといえばブルース、という印象が強いが、この当時はブルースだけでなくコーラスを多用したポップス風の曲を演奏したりと、意外と多彩な一面が覗けるなかなか興味深い一枚である。