洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『カラフル・クリーム(Disraeli Gears)』 (Cream) '67

サイケデリック・ムーブメントを代表する名作アルバム。Creamの代表作、"Sunshine of Your Love"も収録。


カラフル・クリームカラフル・クリーム
(2006/06/21)
クリーム

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前作"Fresh Cream"のブルースやオーソドックスなポップスのカヴァーから一転して、当時流行の最先端にあるサイケデリックな装飾を施した楽曲が並ぶ。アルバムジャケットも突如けばけばしいトーンに変わる事に。思いっきり時代の流れに乗っかる事で大成功した傑作盤と言える。

"Strange Brew" Claptonの囁く様なヴォーカルで幕を開ける。原曲のブルース"Lawdy Mama"を改作した曲。オリジナルに比べるとギターの装飾が派手であり、サイケデリックの幻想的な空気感と非常にマッチしたものになっている。終盤のドラムが入る前の静寂も印象的。

"Sunshine of Your Love" Cream、そして1967年を代表する名曲である。ギター、ベースともに引きずる様なトーンで演奏している所が特徴的で、多分にJimi Hendrixの影響を受けたものと考えられる。ブルースを追究しながらオリジナルな音楽を創り上げる「気魄」のようなものが漲っている傑作。ジミヘンもこの曲をカバーしているが、よりスピード感溢れる仕上がりになっている。聴き比べるのもまた一興である。

"World of Pain" 1stの流れを汲む、ゆったりしたバラード調の曲。終盤の符割りの細かいギターの施し方が職人技である。古典的な演奏と新たなアレンジが巧くクロスした逸品である。

"Dance the Night Away" ブルースとサイケとラーガ・ロック(インド音楽)が融合したこの時期ならではの幻惑的な曲調が秀逸である。シタール風に演奏するギターはJeff Beckの影響が大きい。

"Blue Condition" ドラムのGinger Bakerが作曲・ヴォーカルを担ったゆるいトーンのブルースナンバー。煌びやかな曲の合間の箸休めといった所か。

"Tales of Brave Ulysses" 邦題「英雄ユリシーズ」とは何とも壮大なイメージをかき立てるタイトルである。この曲のClaptonのギターはディストーションがかかり過ぎる位。Jack Bruceのヴォーカルもそれに呼応するかの様にシャウトしている。ハードロックへの架け橋となる代表曲である。

"SWLABR" 軽快なポップス調のナンバー。Jimi Hendrixと初期のThe whoを足して2で割った感じ。

"We're Going Wrong" 前曲とは打って変わって幻想的な曲調。サイケデリックの時代ならではの不思議な空気感につつまれた曲。

"Outside Woman Blues" ブルースを現代的に(67年当時の)解釈した洗練された作品。Jimi Hendrixの影響がそこかしこに表れている。

"Take It Back" ブルース・ハープのゆったりしたリズムが印象的なR&B。クラブで酒でも飲みながらくだけた感じで演奏している様にも聴こえる。奥の方で歓声らしき騒ぎ声も聴こえて随分賑やかな感じである。初期のストーンズにも似たルーズな小品。

"Mother's Lament" ピアノの弾き語りで優しく歌うフォーク調の曲。この手のスタンダード曲を取り入れている所がCreamの渋い所である。時代の流行に左右されないオーソドックスな路線も漏れなく収録するバランス感覚は秀逸。

余談だが、この当時のCreamのメンバーの写真を見た事があるのだが、Claptonの格好に衝撃を受けた記憶がある。髪はアフロヘアー、服装は上下ともピンクに統一した何とも異彩(?)を放つ服装にちょっと微笑ましく感じてしまった。アフロはジミヘンの影響だろうが、ピンクの上下はなかなかのインパクトであった。70年代以降の落ち着いた「大人の」風格を漂わせた感じとは随分ギャップがあった印象を受けたものである。もしかして林家ぺーのキャラクターの原点はCream時代のClaptonなのではないかと思ってしまう程である。