洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『スモール・フェイセス』 (Small Faces) '67

イミディエイトレーベル移籍後の第1弾アルバム。サイケデリック時代の一枚。


スモール・フェイセススモール・フェイセス
(2000/09/21)
スモール・フェイセス

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1965年にデビューして以来、ロンドンのモッズ・ムーブメントの中で中心的な存在となり、数曲のシングルヒットと1stアルバムをリリースするSmall Facesであるが、より創造的な環境を求めて67年にローリング・ストーンズのマネージャーであったアンドリュー・オールダムの立ち上げたレーベル、イミディエイトに移籍する事になる。これはインディペンデント・レーベルのハシリのようなもので、当時としては画期的な事であった。

移籍直後という事もあり、デビュー当初の渋いR&B調の曲よりも創作性の高いポップな曲調が目立つのが特徴である。

"(Tell Me) Have You Ever Seen Me" アコースティックギターとドラムのリズムが際立ったポップ調の軽快な楽曲。前回取り上げた2ndにも収録されているのは、リリース時期が前作と重なっている為である。曲にダブりが発生してしまっているのはちょっと勿体ない気がする。

"Something I Want to Tell You" Ronnie Laneがヴォーカルを担う数少ない曲。彼の囁く様なヴォーカルも悪くはないが、Ian McLaganの滑る様に展開していくハモンド・オルガンの音色も捨て難い隠れた名曲。

"Get Yourself Together" ヴォーカルの性急さとキーボードのゆったり感が絶妙なバランスで進む小品。後にPaul WellerがJam時代に秀逸なカヴァーを残しているが、ほぼ同じアレンジで演奏している所から察するに、時代に廃れない新鮮さを保っている曲と言える。

"Talk to You" このアルバムでは数少ないR&B調の渋い曲。荒削りなギターとシャウトするヴォーカルは後年のHumble Pieに繋がっていく。Steve Marriottのキャリアを語る上で欠かせない一曲である。

リリース時期が67年という事でサイケデリック・ブーム真っ只中の作品なのであるが、今振り返ってみると意外と地味な感じの曲が多い印象を受ける。当時一世を風靡したBeatlesやRolling Stonesに比べて、煌びやかな装飾を施した音楽は意外と少ない。サイケデリックの華やいだ世界とどこか一線を画したのどかな曲が目立つのは、Kinksと通づるものがあると言える。