【音盤銘盤】『アニマルズ』 (Animals) '64
ブリティッシュロックで随一のR&Bグループ、Animalsの1stアルバム。渋好み・通好みの1枚。
Byrdsのアルバム紹介がほぼ終わったので、ここから暫くブリティッシュ系の様々なグループを取り上げてみる。今回紹介するのはThe Animalsである。アニマルズというと"The House Of The Rising Sun「朝日のあたる家」"がなんといっても超有名曲である。この曲は60年代の、というよりイギリスの歌謡界において歴史に残る大作と言える。この為、つい「あの、『朝日のあたる家』で御馴染みの・・・」といった評価ばかりになってしまいがちであるが、その他にもR&Bの名演奏を数多く残している。
当時のメンバーは以下の通りである。
・Eric Burdon - vocals
・Chas Chandler - bass
・Alan Price - keyboards
・John Steel - drums
・Hilton Valentine - guitar
メンバーの出身地はイングランド北東部のニューキャッスルという所である。地理に詳しい方なら知っていると思うが、付近には炭坑や鉄鉱石の産地が多い地域である。日本で言えば室蘭や釜石みたいな所だろうか。Animalsの音楽も地域性を反映してか全体的に重苦しい、非常に荒削りなトーンの曲調のものが多い。
Chas Chandlerは後年、Jimi Hendrixのマネージャーとなり彼を見い出して世に出す事になるのは有名なエピソードである。
"The House Of The Rising Sun" Animalsの歴史的大作。ヴォーカルのEric Burdonの絶叫に近い歌い方が強烈なインパクトを残す。
"Boom Boom" オリジナルはアメリカの名ブルースマン、ジョン・リー・フッカーの作。Yardbirdsもこの曲のカヴァーを残しているが、Animasの方が数段出来が良い。
60年代当初においてAnimalsのEric BurdonほどR&Bの持つ「重苦しさ」「ワイルドさ」に近づこうとしたアーティストはいないであろう。殆ど絶叫に近い歌い方をして声を嗄らしながら歌う事でブラックミュージック、そして黒人そのものの本質に迫ろうとした稀有なミュージシャンである。