洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ライヴ・アット・ザ・フィルモア 1969』 (Byrds)

近年になって発売された初のフル・ライヴアルバム。掘り出し物とでも言うべき貴重な音源である。

The Byrds ライヴ・アット・ザ・フィルモア-1969

11_12_liveatfillmore.png

Byrdsは現役で活動していた時代に『(タイトルのないアルバム)』というライブ盤を残している。(しかし、スタジオ収録とライヴ盤の2枚組。)

ライヴ盤単体でのリリースは、2000年に発表されたこの"Live at the Filmore"が初めての事である。収録は1969年2月、サンフランシスコの"フィルモア・ウェスト"で行われた。当時最新のオリジナルアルバムは"Dr. Byrds & Mr. Hyde『バーズ博士とハイド氏』"にあたるので、このアルバムから取り上げられた曲が多い。

このライヴ当時のメンバーは以下の通り。

・Roger McGuinn - guitar, lead vocals

・Clarence White - guitar, backing vocals

・John York - electric bass, backing vocals

・Gene Parsons - drums, harmonica, banjo, backing vocals

この時代のByrdsはリーダー格のRoger McGuinn以外は既にスタジオ等のセッションで実力のある、腕の立つミュージシャンが揃っており優れた演奏を聴く事ができる。これだけの優れた演奏が30年以上も日の目を見る事なく見過ごされていたのは大変勿体ない。Byrdsに限らず60〜70年代に活動したミュージシャンのライヴで秀逸な音源がまだまだ有りそうな気がしてならない。かつて活躍したアーティストの音源がディスク数枚組のBOXセットで「未発表音源」として豪華な装丁でリリースされる事があるが、あの手の売り方ではなかなか手が出にくいのではなかろうか。もう少し安い価格で1枚ずつ売る方法も有るのではないかと考えることもたびたびである。

まぁ、それはさておきこの"Live at the Filmore"の聴き所はRoger McGuinnとClarence Whiteの2人のギタリストによる時にぶつかり合い、時に重なり合うギターのアンサンブルに尽きると思う。冒頭の"Nashville West"といい、メドレーで演奏される"Mr. Tambourine Man"や"Eight Miles High"、後半の"So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star"などスタジオ収録盤とは全く様相の異なる演奏を呈している。どれも本来はフォーク調のゆったりした曲だったものが、躍動感のある仕上がりに変貌している。