洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『12×5』(The Rolling Stones) '64

シカゴのチェス・スタジオでの録音曲を多数収録したアメリカ盤の2ndアルバム。アルバム全体にチャック・ベリーへの憧れがストレートに現れている作品。


12×512×5
(2007/01/24)
ザ・ローリング・ストーンズ

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このアルバム、まず何よりもジャケットが格好良い。右端にいるBrianの遠くを睨みつける様な視線に彼の「才気」を感じ取ることができる。Mickは後ろの方で若干所在無げに立っている所が意外である。この頃はまだバンドの主導権はMick,Keithの2人ではなく、Brianにあったのだ。

メンバー、特にMick,Keith,Brianが愛好していたチャック・ベリーの影響が強いのは"Around And Around"をオープニングに持ってきた所からも明らかである。

Keithのギター・イントロ(恐らく)で始まるこの曲、チャック・ベリーへの憧憬が滲み出ている。Mickのヴォーカルも若若しくて生き生きしているのがよいね。

この他にも特筆すべき曲は多い。"Empty Heart" このアルバムで一番好きな曲。一見(一聴?)すると乱雑な演奏に聴こえるが、あのスピード感が気分を高揚させる。ノリ一発で作った潔さが大成功したと言える。

"Time Is On My Side" ストーンズが純粋にR&Bをカバーしていたごく初期の時代の中では、最高傑作だと思う。オリジナルっぽいけど実はこれもカバー曲なのである。このアルバムに収録されているバージョンはイントロがオルガンで始まる方。イントロがギターソロのバージョンも別途リリースされているので、聴き比べてみるのも一興かも。

”It's All Over Now” 初期ストーンズの真骨頂ともいえるBrian,Keithのギターアンサンブルが十二分に聴ける曲。力強さと軽快さが入り乱れる感じが凄い。この時期のストーンズの魅力は融通無碍にギターサウンドが飛び交っている雰囲気にあると個人的には考えている。ビートルズのようにきちんと構成を練って作り上げるサウンドも良いが、ストーンズのゆらゆらした何とも自由奔放な空気感も甲乙付け難い。

"2120 South Michigan Avenue" 収録したシカゴのスタジオの住所をそのまま曲名にしたインストゥルメンタル曲。憧れの地で演奏できた喜びが曲に現れて随分弾んでいる様。

"If You Need Me" Mickが切々と歌い上げるバラード。既に大物の風格がにじみ出ているのが分かる逸品。このアルバムはオルガンの使い方が巧いのが特色。重厚感を出すのに寄与している。

"Susie-Q" 後年になってCCR(Creedence Clearwater Revival)がデビュー曲としてカバーすることになる曲。CCRバージョンに比べて作りがラフな印象。でも決して野暮な感じがしないのが凄い。