洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『The Rolling Stones Now!』(The Rolling Stones) '65

初期R&Bカバー路線の集大成のアメリカ盤3rdアルバム。モノトーンのジャケットに鋭さと渋さを感じる逸品。


Rolling Stones NowRolling Stones Now
(2002/08/27)
Rolling Stones

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この時期のストーンズはどれもアルバムジャケットが格好良いが、特にこの"Now!"はモノトーンの写真で統一されていて渋さが際立っている。R&Bに対するこだわりが写真全体に現れている。

"Everybody Needs Somebody To Love" キースとおぼしきギターの音が弾んで格好良い曲。いかにも1発録りという感じでライブを聴いている様なのが楽しい。

"Down Home Girl" ゆったりと進む曲の中で入ってくるブルース・ハープが長閑さを演出している。淡々とした曲調で、この時代の彼らの曲の中では長い方(4分余り)だが、長さを感じさせない所が演奏力の高さを証明していると思う。

"You Can't Catch Me" ストーンズ御用達のチャック・ベリーのカバーである。スカスカで隙間だらけな音作りだが、決して乱雑な感じになっていないのはKeith,Brianのギターもさることながら、Charlieの丁寧なリズムの刻みかたにも貢献していると考えている。ジャズ出身だけあって端正なリズム感は一流と言える。ストーンズの音楽性の深さはCharlieのドラムによる所が大きい。

"Heart Of Stone" Mickの喉から搾り出すような歌い方を聴いているといったい当時何歳だったのかと不思議に思う。しかもこの曲、Mick,Keithによるオリジナルなのだから尚驚きである。

”What A Shame”,"Off The Hook" これらもMick,Keithによるオリジナル曲。このアルバムは4曲オリジナル曲が収録されているが、どれもチャック・ベリー風のギターをあしらったR&B風の作風である。本格的に彼らがオリジナリティを発揮して作詞・作曲に励むようになるにはもう少し時間がかかる。"Satisfaction"を待たねばならない。

”Pain In My Heart” Mickの黒人シンガーに対する憧憬と少しでも近づいたスタイルで歌いたいという願望が切実に現れている所が曲に素直に現れていて何だかいじらしい。ストーンズはロックバンドである事を忘れてしまいそうになる出来映えである。

"Little Red Rooster" この曲、実は当時のUKシングルチャート1位を記録しているんですね。ボトルネックギターの鷹揚なフレーズが当時そんなに支持されていたとは意外である。当時から英国は音楽的に成熟しているのが分かるエピソードである。