【音盤銘盤】『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』(The Rolling Stones) '65
稀代の名曲"Satisfaction"が収録された(US盤)アルバム。今までのR&Bのカバーからオリジナル曲へ主体が変わるターニング・ポイントの逸品。個人的には60年代のストーンズのアルバムで一番好き。
![]() | アウト・オブ・アワ・ヘッズ(ア (1995/02/25) ザ・ローリング・ストーンズ 商品詳細を見る |
この当時のストーンズ、というよりもこの当時のグループのアルバムの多くは同じアルバム名でも各国別にジャケット写真や曲目が異なる形で発売されていた。筆者自身がストーンズを聴き始めた20年前は主にアメリカ盤が主にCD化されていたので、イギリス盤のオリジナルではなくこちらをここで紹介する。
私見だが、60年代のストーンズのアルバムの知名度がビートルズに比べて低いのはUS盤とUK盤をばらばらにリリースしているからだと考えている。ビートルズは80年代のCD化でEMIが公式盤を統一したのが大きい。ストーンズも抜け漏れダブりの無い、統一カタログを早く出して頂きたいところである。
US盤は"Mercy, Mercy"から始まる。聴き所はKeithとBrianの2人によるギターアンサンブル。どちらもリードしながらリズムを刻む事でビートルズ以上に力強い曲調になっている
"Mercy, Mercy"はドン・コヴェイのカヴァー。Mickのヴォーカルはオリジナルと遜色ない所が凄い。黒人の歌い方を当時の若さで上手く真似られるのはやはり天賦の才能である。
"Hitch Hike" 初めてこのアルバムを聴き始めた頃を振り返る。当時は高校1年。生活環境が変わって友達を1から作り直すのに苦労した事を思い出した。
"The Last Time" この時期のストーンズの大きな特徴の一つ、KeithとBrianのうねるようなギターのリフレイン。波打つように響くのが心地よい。
"Good Times" ちょっとゆるーい感じでミックがソウルを歌うのがいい。ちょうど暖かくなる時期にぴったりの曲。
"I'm Alright" このアルバム唯一のライブ演奏曲。当時の観客の熱気が伝わってくるのが分かる一曲。高校生だった当時の自分には乏しい小遣いの中で聴いた大変貴重な曲であった。
月1程度のペースでしかCDを買えなかったので、一曲一曲を噛み締めるように聴き込んでいたのを思い出す。
"Satisfaction" 言わずと知れた名曲。ストーンズを意識して聴き始めたのはこの曲から。15歳の時に聴いてビートルズとは違う、耳をヒリヒリさせる「何か」を感じたのを覚えている。
うまく言葉にするのは難しいが、これから面白い事が沸き起こる様な期待感とか、自分も何か新しく企ててみようという衝動をかき立てるような、不思議な気持ちを抱かせる曲である。
"The Under Assistant West Coast Promotion Man" 邦題は「ウエストコーストの宣伝屋」この当時の邦題って何か郷愁を誘う。
"Play With Fire" フォークの影響を受けた小品。ぎこちないながらも自分達のものにしようとしているところが良い。カバー曲だけでなくオリジナルに注力しつつある状況が見て取れる。