【音盤銘盤】『ディッセンバーズ・チルドレン』(The Rolling Stones) '65
ジャケットの格好良さはストーンズ随一。モノトーンの中で佇むメンバーが渋い。特にブライアンの虚空を見つめる感じと、サラサラ髪が光に映える所が印象的。
高校生の頃、このアルバムジャケットを素材に美術の授業で絵を描いた事がある。元ネタの写真とは反対に敢えてカラフルなサイケな感じに仕上げた記憶があるなぁ。
![]() | ディッセンバーズ・チルドレン (1995/02/25) ザ・ローリング・ストーンズ 商品詳細を見る |
アメリカ盤における5枚目のアルバムである。私がストーンズを聴き始めた20年程前はアメリカ盤を中心にリリースされていたのは、前回『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に書いた通り。
イギリス盤のオリジナル(Deccaレーベル)を基準にすると編集盤扱いになってしまうのかもしれないが、重要な曲が収録されているので、ここで改めて紹介することに。
まず1曲目からかっこいい。"She Said Yeah" イントロからファズ・トーンのギターが印象的。デビュー当初のR&Bだけではない、軽快なロックもカヴァーする事で音楽性の幅広さを見せている。
"Talkin' 'Bout You" Keithのお家芸、チャック・ベリーのカヴァー。クラプトン時代のヤードバーズもカヴァーしていたが、贔屓目に見てもストーンズ盤の方に軍配が上がる。Mickのボーカルの重厚感といい、曲の構成といい完成度に歴然とした差がある。
"Look What You've Done" Brianのブルース・ハープが印象的。初期ストーンズのR&B決定版という感じ。
"The Singer Not The Song" 個人的にはこのアルバムで一番好きな曲。ストーンズも当時流行しつつあったフォーク・ロック系のノリとは無縁ではない事を証明している。アコースティック・ギターの弾き方がちょっとぎこちないのはご愛嬌。
"Route 66" ここでいきなりライブ。当時の熱狂を垣間見る事が出来る貴重な曲。このアルバムを聴き始めた高1の頃は当時のライブに思いを馳せたものです。
"Get Off Of My Cloud" "Satisfaction"に続くストーンズ2曲目の全米ヒット。曲もさることながら歌詞もいいね。日常の鬱屈とした不満をストレートにさらけ出している歌詞に若い頃の筆者ははまりました。普段の生活の中でもやたら面倒くさい事を言ってくる連中て多いでしょう。そんな輩に関わるのなんてくだらねぇて思いをそのまま歌にしている事に胸がすく思いであった。
"Blue Turns To Grey" バック・コーラスやっているのってBillなんでしょうか?凄く黒人ぽいトーンで歌っている人がいるけど。
"I'm Movin' On" 再びライブ。ストーンズでは珍しいカントリー&ウェスタンのカヴァー。以前ピーター・バラカン氏がラジオ番組で聴き比べと称しビートルズのR&B"money"と共に紹介してたのが記憶にある。スライド・ギターの弾き方がなんともワイルドというかスピード感あふれる感じが印象的。軽快なように見えてそこはやはりストーンズらしくR&Bの黒っぽい雰囲気が満載である。
このアルバム、編集盤ではあるものの当時のシングルヒット曲やライブ曲が含まれており、当時の「活きた」ストーンズの姿がはっきりと映し出されていて極めて価値が高いアルバムである。
今後、Brian在籍時のアルバムを英国盤(Decca盤)仕様で統一してリリースする事はストーンズを再評価する上で重要と考えているが、この手の編集盤も無視できないなぁと思う今日この頃。