【音盤銘盤】『フラワーズ』(The Rolling Stones) '67
メンバーの顔写真に花を模したジャケットが特徴的なアルバム。Brianの枝にだけ葉がついていないのは何か狙いがあっての事だろうか?発売して2年後の事件を考えると非常に不吉なものを感じる。
フラワーズ (2002/11/09) ザ・ローリング・ストーンズ 商品詳細を見る |
このアルバム、「アフターマス」「ビトゥイーン・ザ・バトンズ」の選曲から外れたもの、或いはUK盤には収録されたがUS盤では曲目から外れたものを中心に編集されたコンピレーション・アルバムである。
当時のサイケデリック・ムーブメントの世相を反映させた「企画モノ」の色彩が強いアルバムである。しかし、意外な掘り出し物があったりとストーンズ史の中で無視できない価値がある。
既出のアルバムでは紹介されていない曲を中心にここでは取り上げることにする。
”My Girl” モータウンを代表するグループ、テンプテーションズのカバー。65年頃「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」の時期にレコーディングされたもの。R&Bのアップテンポなノリとは対照的に、ゆったりとしたリズムが特色。
"Backstreet Girl" 「ビトゥイーン・ザ・バトンズ」のUS盤から外れた曲。フォーク・ギターとストリングスの音色が心地よい逸品。
"Please Go Home" 67年のサイケムーブメントとボ・ディドリーのリズムを組み合わせた一曲。これも前アルバム(US盤)から外れた曲だが、なかなか侮れない。「R&Bとサイケの融合」と解釈すれば、ストーンズの革新的な側面に気がつく。
"Ride On Baby" 「アフターマス」から漏れた曲。ハープシコードの演奏が目立つ逸品。Brianが気を吐く曲。
"Sittin' On A Fence" このアルバムだけではなく、ストーンズの曲の中でも上位に入ると(個人的に)思っている曲である。日和見を決め込む人間の心情が綴られる一品。大袈裟だが僕の人格形成に大きく影響を与えた曲かもしれぬ。
ストーンズには"Satisfaction",”Get Off My Cloud”,"Gimme Shelter"など若者の性急な感情をストレートに表現した名曲が多いが、この”Sittin' On A Fence”はその対極にある曲である。同時期に全く違う曲調の歌を作っていた所に、彼らのキャパシティの広さというかバランス感覚の巧みさを見て取ることができる。
ちなみに曲の最後でアコギを弾き外しているのはご愛嬌(?)でしょうか。
このアルバム、たかがブームに乗っかった編集盤と言うなかれ、隠れた名曲の有る侮れない作品に仕上がっている。Brianの存在感がまだまだ残っている傑作である。