洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『サタニック・マジェスティーズ』(The Rolling Stones) '67

ビートルズの「サージェント・ペパーズ」の影響下、巷のサイケデリック・ムーブメントに飲まれるようにして制作されたアルバム。

このアルバムからようやく世界的に統一されたフォーマットでリリースされるようになる。


サタニック・マジェスティーズサタニック・マジェスティーズ
(2011/10/12)
ザ・ローリング・ストーンズ

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リリース当初はビートルズの「サージェント・ペパーズ」の物真似と揶揄されて賛否両論真っ二つに評価が割れていたという、いわく付きのアルバムである。

デビュー当初からストーンズはマニアックなR&Bを追求したりと時代の流行から一線を画す印象があった為、このアルバムでのサイケデリック・ブームへの追従具合は一部のファンには野暮な振る舞いに見られていたのかもしれない。しかし、今聞き返すとそれ程悪い出来ではないのに気がつく。

"Sing This All Together"(魔王讃歌)から始まり、"Sing This All Together (See What Happens)"(魔王讃歌(二部))で終わる構成は当時画期的であった「コンセプト・アルバム」の影響をモロに受けているのが分かる。特に「サージェント・ペパーズ」への対抗意識が強いのは明らかである。しかし、個々の曲を聴いてみると随所にストーンズらしさを垣間見ることができる。

"Citadel" サイケのきらびやかな装飾が施されているが、Keithのギターは完全にR&Bのノリになっている。この曲はもっと評価されても良いと思う。

”In Another Land ” 記念すべきBill Wymanのオリジナル曲。曲の終わりのいびきは遊び心で入れたものなのでしょう。Small Facesのスティーヴ・マリオットとロニー・レーンがギターで参加しているのが興味深い所である。当時のイギリスのグループの交友関係が分かるエピソードである。

"2000 Man" デビュー当初の流れを汲むフォーク調の曲。僕は高校生の時に初めて聞いたが、世間(というかCD解説書)の評判に反し、いい曲だと思っている。

"She's A Rainbow" 10年ほど前でしょうか。iMacのCMで使われていたのを思い出す。やはりこの時代のストーンズの曲は秀逸。

"2000 Light Years From Home" いかにも1967年の雰囲気丸出しで、ストーンズとしては異色の作風である。近年になってからライブで再現したのはMickの執念なんだろうか?

"On With The Show" 実はこのアルバムで一番好きな曲かもしれぬ。この曲を聴くとなぜかほっとする。SFの世界から現実に戻ってこれた気がするのは私だけだろうか?

このアルバムを振り返ってみると、一時期のブームに乗っかったせいで陳腐になってしまった部分があるのは否めない。しかし、21世紀の現在でも十分通用するクオリティの曲も結構あり、特に"Citadel","2000 Man"なんかを聴いていると、ギターのフレーズはR&Bのノリから全然ぶれていないことが分かる。今一度正当な評価を受けるべきアルバムなのではないかと思う。