洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』(The Rolling Stones) '66

ローリング・ストーンズ初のライヴ盤である。1966年の録音であり、当時シングル・ヒットで人気の絶頂にあった彼らの勢いを満載したアルバム。


ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!
(2002/11/09)
ザ・ローリング・ストーンズ

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ストーンズに存在してビートルズに存在しない物の1つに、公式な形でリリース(正確にはCDとしてリイシュー)されたライブ盤が挙げられる。ビートルズにも「Live at the BBC」のように後年になってリリースされたライヴ盤はあるのだが、これはスタジオ内での演奏であり、観客の前で演奏されたものではない。

これに対してストーンズは60年代という、最も勢いのある時期に2枚のライヴ盤を残している。そのうちの1つがこの『ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!』である。無論、このアルバムは現在のレコーディング技術と比較すれば、非常にショボいのは否めない。現在リリースされているUS盤と同名のEP盤が当時イギリスでリリースされていたりと、UK盤・US盤のバージョン違いによる混乱は当時の他のアルバムと変わらない。それに収録曲のうち、2曲がスタジオ録音に観客の歓声をかぶせたいわゆる「ニセ」ライヴだったりと稚拙な演出をしている所がなんとも微妙な感じではある。しかし、60年代当初のライヴをこれほど巧みに表現したアルバムも珍しいのではないかと思う。音楽的には野暮ったさは残るものの、当時のライブを伝えるドキュメンタリーとして捉えれば非常に秀逸な作品に仕上がっているのではないだろうか。

オープニングの"Under My Thumb"〜"Get Off Of My Cloud"にかけてのスピード感は、当時の演奏を知らない僕の様な人間には貴重なものである。勢いだけで突っ走る鋭さと躍動感は、いつ聴いても飽きない。

”Lady Jane”のBrianによるダルシマーの演奏は生前の彼の活躍ぶりを伝えている。R&Bだけでないストーンズの多彩な音楽性が表れている。

”I've Been Loving You Too Long”,"Fortune Teller"この2曲が歓声をオーバーダビングさせたものだが、当時のライブの雰囲気を表す再現ナンバーとして捉えればなかなか興味深い。

その他にも"Not Fade Away","The Last Time","19th Nervous Breakdown","Time Is On My Side","Satisfaction"など当時のシングル・ヒットが勢揃いしており、人気が右肩上がりになっていく彼らの様子が窺い知れて楽しくなる曲ばかりである。

「アウト・オヴ・アワ・ヘッズ」に収録されていた"'I'm Alright"も忘れちゃいけない。Keith(と思しき)のギターのトレモロが乱雑だけど、なんともかっこいい。

ストーンズの主戦場が「ライヴ」にあるのはデビュー当初から全く変わっていないのが分かる1枚である。