洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』(The Rolling Stones) '70

ローリング・ストーンズの2枚目のライブ盤。69年の北米ツアーでのライヴを収録。


ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウトゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト
(2002/11/09)
ザ・ローリング・ストーンズ

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このライヴ盤が出た直前は波乱だらけであったのはロックに詳しい方はご存知でしょう。Brianのグループ脱退、それに続く事故死、そしてMick Taylorの加入など1969年のストーンズ周辺は激動の真っ只中にあったと言える。一方、音楽面では「ベガーズ・バンケット」「レット・イット・ブリード」という歴史的な傑作をリリースしており、ライヴの再開が望まれていた。そのような状況の中で発売されたのがこのライヴ盤である。

オープニングの"Jumpin' Jack Flash"は当時の大ヒットシングル。ストーンズが何ランクもレベルアップして戻ってきた印象を持つ曲であり、つかみとして絶対外せないのは言うまでもない。オリジナルよりゆったりとしたテンポで進むのは若干好みが分かれる所かもしれない。

続いて”Carol”。久々にチャック・ベリーのカバーが聴けるのが嬉しい。デビュー当初のR&Bカバー時代を彷彿とさせる演奏が良い。この他に”Little Queenie”もこのライヴで演奏している。

このライヴ盤の楽しみ方として、オリジナルのスタジオ録音と聴き比べてみると面白い。曲によってスタジオ盤とこのライヴ盤、どちらが好みか見解が分かれる所と思う。

個人的には”Midnight Rambler”はこのライヴの方が好きである。中盤のドラムとギターによるインプロビゼーション(即興)は聴き応えがある。スタジオ盤のオリジナル曲もかなり長尺な構成になっているのだが、ライヴ・バージョンを一度でも聴いてしまうとオリジナル版がこじんまりした印象になってしまう。

”Sympathy For The Devil”も『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』のバージョンが好きである。「ベガーズ〜」のおどろおどろしい雰囲気もユニークで良いが、ゆったりと穏やかなテンポで流れていくこのアルバムのバージョンは何にも代え難い魅力を持っている。KeithとMick Taylorによるお互いにリードしつつリズムも刻むアンサンブルが既に完成しつつある所が凄い。ギター・バンドとしてのストーンズを語る上で、このライヴ盤の「悪魔を憐れむ歌」は名演奏としてもっと評価されて良いだろう。

ジャケット写真もお茶目で好きである。チャーリーが派手な帽子をかぶって無邪気に写っているのと、ロバの2ショット。なんだか微笑ましい。