洋楽好きの音盤銘盤

やっぱり洋楽は60年代が格好良い

【音盤銘盤】『ロデオの恋人』 (Byrds) '68

Byrdsがグラム・パーソンズを招いて全編カントリー・ミュージックで通した挑戦的な名作。

The Byrds ロデオの恋人

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4thアルバム"昨日より若く"、5thアルバム"名うてのバード兄弟"辺りからByrdsのカントリー・ミュージックへの傾倒は目立ち始めていたが、このロデオの恋人(Sweetheart of the Rodeo)ではカントリー・ミュージックを出自とするミュージシャンが加入して本格的なカントリー・ロックを発表する事になる。

当時のメンバーは以下の通り。

・Roger McGuinn - acoustic guitar, banjo, vocals

・Chris Hillman - electric bass, mandolin, acoustic guitar, vocals

Gram Parsons - acoustic guitar, piano, organ, vocals

・Kevin Kelley - drums

このアルバムに絶大な影響力を持ったのはGram Parsonsである。彼によって本格的なカントリー・ミュージックの素養を取り入れる事が出来、後の"カントリー・ロック"の先駆けとなったと言っても良い。カントリー・ミュージックの本場であるナッシュビルで録音が行われたりと、メンバーの入れ込み方も特別なものであった。

当時の流行を振り返ってみた時に、サイケデリック・ムーブメントが一段落し、ZepplinやDeep Purpleのようなハード・ロックが盛り上がる前の時期であったので、何か新しいジャンルを開拓しようとする意識が高かったのかもしれない。

21世紀となった現代に聴いてみると、どの曲ものどかで田舎道をドライブする時にピッタリの物が多いので違和感を感じないが、カントリー・ミュージックという日本で言うところの"演歌"とか"民謡"のようなジャンルに進出したのは当時としては極めて意外だったのではなかろうか?

この辺りの発想はリーダー格のRoger McGuinnに拠る所が大きいと思うのだが、革新的なのか保守的なのかよく分からない点が何とも興味深い。もとい、本当に優れた人は古い・新しいに関係なく良い物は柔軟に取り入れる事ができるということなのかもしれぬ。

"You Ain't Goin' Nowhere" Bob Dylanのカヴァーはカントリーでも欠かせない。

"Hickory Wind" Gram Parsonsの作

"One Hundred Years from Now" こちらもGram Parsonsの名作

Gram ParsonsのByrds加入以前に在籍していたInternational submaline band時代の音源や、彼がリード・ヴォーカルをとった別バージョンも収録のレガシー・エディションも興味のある方はどうぞ。

The Byrds ロデオの恋人(レガシー・エディション)